「毎日つけていると電気代がかさむのでは」——加湿器で最初に気になるのは、たいていそこ。同じ加湿器でも、1ヶ月の電気代は約100円台から2,000円台まで開く。差は10倍以上ある。
分かれ目は方式。ヒーターで水を加熱するスチーム式(水を熱して湯気にする方式)は電気代が高め。ファンの風で水分を飛ばす気化式(水を含ませたフィルターに風を当てて湿らせる方式)は、かなり安い。残る2つが超音波式(細かな振動で水を霧にして飛ばす方式)とハイブリッド式(2つの方式を組み合わせた仕組み)。4方式で消費電力がまるで違う。
以下は、単価31円/kWh(電気の使用量の単位。キロワットアワー)を前提にした試算。方式別、時間別、つけっぱなし条件別の実額を並べ、自分の機種に当てはめて計算できる式も置いた。数値は一般的な目安で、機種や契約単価で変わる。
📖 目次(タップで開閉)
加湿器の4方式は、水を温めるかどうかで分かれる

方式の名前を4つ覚える必要はない。効いてくるのは、水をヒーターで温めるか温めないか、この一点だけ。加湿器が水を水蒸気に変えるやり方は方式ごとに違うが、電気代への影響がいちばん大きいのはそこ。加熱する2方式と、加熱しない2方式。線の左右で、月の電気代は10倍以上ひらく。
▶ あわせてチェック:加湿器 方式 種類(追補:行5002誤記載の是正で移設)
水を温める側:スチーム式とハイブリッド式
スチーム式とヒーター付きのハイブリッド式は、水を加熱するために大きな電力を使う。消費電力は高めになる。1日8時間・30日で見た目安は、スチーム式が約2,000円台、ハイブリッド式が約1,000〜1,500円台。
水を温めない側:超音波式と気化式
気化式はファンの風で水を気化させ、超音波式は超音波の振動で霧をつくる。加熱をしないぶん、どちらも消費電力が小さい。同じ1日8時間・30日で、超音波式は約200〜300円、気化式は約100円前後。
加湿力を取るか、電気代を取るか。分岐点はここにある。自分の加湿器がどちら側にいるかを確かめるだけで、月々いくらかかるかの見当はつく。
スチーム式の電気代は1ヶ月およそ1,860円

スチーム式は、ヒーターで水を沸騰させて水蒸気を出す方式。加湿力が高く、衛生面のメリットもある。ただし加湿中はヒーターが動き続ける。4方式のなかで消費電力がもっとも大きく、電気代も高い。
スチーム式の消費電力と1時間・1日・1ヶ月の目安
消費電力の目安は約130〜300W。仮に250Wとして計算する。1時間で約7.8円、1日8時間なら約62円、1ヶ月(8時間×30日)では約1,860円。加湿量の大きいモデルほど消費電力も大きく、電気代は上がる。
沸騰させはじめる立ち上がりでは、一時的にもっと大きな電力を使うこともある。電気代はかかるが、水を加熱するので雑菌が繁殖しにくく、温かい蒸気で室温が下がりにくいのもこの方式の利点。
スチーム式で電気代がふくらむ使い方
広い部屋で強運転を長く続けるほど電気代は上がり、適用畳数に対して部屋が広すぎると加湿器は常にフル稼働になりやすい。部屋の広さに合った加湿量のモデルを選ぶ。効くのはこれ。
▶ あわせてチェック:梅雨に加湿器は必要?除湿との使い分けと梅雨に向く選び方・使い方
湿度が十分に上がったら弱運転に切り替える、湿度センサーで自動運転するモデルを選ぶ。どちらもムダな加熱を減らせる。
ハイブリッド式は約1,116円、加熱と気化の中間
ハイブリッド式は複数の方式を組み合わせて弱点を補った方式で、加熱と気化を組み合わせるタイプが多い。電気代はスチーム式と気化式の中間程度に収まる。
加熱気化式の消費電力と1ヶ月の目安
加熱気化式は、水を含んだフィルターに温風を当てて気化させる。消費電力の目安は約100〜200W。仮に150Wとすると、1時間で約4.7円、1日8時間で約37円、1ヶ月(8時間×30日)では約1,116円。
立ち上がりは温風でしっかり加湿する。湿度が安定するとヒーターを弱め、気化式中心の運転に切り替わるモデルもある。その場合、実際の電気代は上の目安より安くなることがある。
加湿力と電気代の折り合いをつけたいとき
スチーム式ほど電気代がかからず、気化式より加湿スピードも速い。その中間にいるのがハイブリッド式。加湿力もほしいが電気代も抑えたい、という条件に合う。
湿度が上がったあとに消費電力の小さい運転へ切り替わるモデルなら、バランスはさらに取りやすい。
超音波式は約223円、気化式は約74円まで下がる

超音波式と気化式は加熱をしないので、そのぶん消費電力が小さく電気代を安く抑えられる。4方式のうち、安い側にいるのがこの2つ。
超音波式の消費電力と1ヶ月の目安
超音波式は、超音波の振動で水を細かい霧にして放出する。消費電力の目安は約20〜40W。仮に30Wとすると、1時間で約0.9円、1日8時間で約7.4円、1ヶ月(8時間×30日)では約223円。
電気代が安く、コンパクトなモデルも多い。ただし水を加熱しないので、タンクの水はこまめに交換し、本体を清潔に保つ手入れが要る。
気化式の消費電力と1ヶ月の目安
気化式は、水を含んだフィルターにファンの風を当てて気化させる。消費電力はファンを回すだけの約5〜20W。4方式でもっとも省エネ。仮に10Wとすると、1時間で約0.3円、1日8時間で約2.5円、1ヶ月(8時間×30日)で約74円。
電気代は非常に安く、つけっぱなしにも向く。そのかわり加湿のスピードはゆるやか。フィルターの定期的な手入れも欠かせない。
加熱しない2方式をさらに安く使う
もともと安い2方式だが、弱運転や湿度設定でさらに下げられる。加湿しすぎは結露やカビの原因にもなるので、湿度40〜60%を目安に必要なときだけ動かす。
手入れを怠ると加湿効率が落ちて運転時間が延びやすく、こまめな清掃は間接的な節約になる。
自分の加湿器の電気代を式で出す
方式のあたりが付いたら、次は手元の機種。電気代は簡単な式で目安を出せる。必要なのは消費電力と使用時間、それに1kWhあたりの単価の3つだけ。
▶ あわせてチェック:寝室におすすめの加湿器10選|静かで朝まで潤う選び方と結露対策
電気代は消費電力と時間と単価の掛け算
式はこれだけ。
電気代(円)= 消費電力(W)÷ 1000 × 使用時間(h)× 電気料金単価(円/kWh)
たとえば消費電力250Wのスチーム式を1時間使う場合。250 ÷ 1000 × 1 × 31 = 約7.8円になる。1000で割るのは、消費電力の単位W(ワット)を電気料金の単位kW(キロワット)へ換算するため。自分の加湿器の消費電力を入れれば、方式を問わず目安が出る。
単価は1kWhあたり31円で計算した
この記事の金額は、すべて1kWhあたり31円で計算している。家庭向けの電気料金の一般的な目安で、契約している電力会社やプランによって上下する。
より正確に出したいなら、検針票やマイページの「1kWhあたりの単価」を式に入れる。単価はあくまで目安。
本体の定格ラベルで消費電力を確かめる
消費電力は、本体背面や底面の定格ラベル(銘板)のほか、取扱説明書やメーカーの製品ページでも分かる。「消費電力 ○W」と書かれた数値がそれ。
加湿量を「強」「弱」で切り替えられるモデルでは、消費電力も運転モードで変わる。ラベルに載るのは最大値(強運転時)であることが多く、弱運転で使うなら実際の消費電力はこれより小さい。
4方式の電気代を1時間・1日・1ヶ月で並べる

加湿器は長時間つけっぱなしにすることが多い家電なので、ここまでの数字を1枚の表にまとめる。消費電力は各方式の一般的な目安で、単価は31円/kWhで計算した。1時間、1日(8時間)、1ヶ月(8時間×30日)の順に並べてある。
| 加湿方式 | 消費電力の目安 | 1時間 | 1日(8時間) | 1ヶ月(8時間×30日) |
|---|---|---|---|---|
| スチーム式 | 約130〜300W | 約4.0〜9.3円 | 約32〜74円 | 約967〜2,232円 |
| ハイブリッド式 | 約100〜200W | 約3.1〜6.2円 | 約25〜50円 | 約744〜1,488円 |
| 超音波式 | 約20〜40W | 約0.6〜1.2円 | 約5.0〜9.9円 | 約149〜298円 |
| 気化式 | 約5〜20W | 約0.2〜0.6円 | 約1.2〜5.0円 | 約37〜149円 |
※単価31円/kWh・消費電力は一般的な目安です。実際の金額は機種や加湿量(1時間にどれだけの水分を空気に出せるかの量)、契約している電気料金プランによって変わります。スチーム式は加湿力が高いモデルほど消費電力も大きくなる傾向があります。
在宅と就寝で1日8時間、30日続けたら
在宅時や就寝時に1日8時間。これを30日続けた場合の目安。各方式の代表的な消費電力を使い、単価は31円/kWhで計算している。
| 加湿方式 | 消費電力の目安 | 1日(8時間) | 1ヶ月(8時間×30日) |
|---|---|---|---|
| スチーム式 | 約250W | 約62円 | 約1,860円 |
| ハイブリッド式 | 約150W | 約37円 | 約1,116円 |
| 超音波式 | 約30W | 約7.4円 | 約223円 |
| 気化式 | 約10W | 約2.5円 | 約74円 |
※単価31円/kWh・消費電力は各方式の代表値としての目安です。同じ方式でも加湿量や機種によって金額は変わります。
丸1日つけっぱなしを30日続けたら
24時間つけっぱなしを30日続けると、使用時間が3倍になるので金額も8時間の約3倍が目安になる。
| 加湿方式 | 消費電力の目安 | 1日(24時間) | 1ヶ月(24時間×30日) |
|---|---|---|---|
| スチーム式 | 約250W | 約186円 | 約5,580円 |
| ハイブリッド式 | 約150W | 約112円 | 約3,348円 |
| 超音波式 | 約30W | 約22円 | 約670円 |
| 気化式 | 約10W | 約7.4円 | 約223円 |
※単価31円/kWh・消費電力は各方式の代表値としての目安です。24時間つけっぱなしにする場合は、消費電力の小さい気化式や超音波式が電気代の負担を抑えやすくなります。
電気代を下げる手立ては5つ

加湿器は使う時間が長い。少しの工夫でも、差は月単位で積み上がる。今日から手を付けられるものを挙げる。
消費電力の小さい気化式・超音波式を選ぶ
電気代をとにかく抑えたいなら、加熱をしない気化式や超音波式が有力で、とくに気化式は約5〜20Wと小さい。つけっぱなしでも負担は軽い。加湿力やスピードとのバランスを見て決める。
部屋の広さに合った加湿量のモデルを選ぶ
適用畳数に対して部屋が広すぎると、加湿器は常にフル稼働になり電気代がかさむ。逆に部屋に対して余裕のある加湿量のモデルなら弱運転でも十分に加湿でき、消費電力はそのぶん下がる。設置する部屋の広さに合わせる。ムダな電気代を防ぐ基本はここ。
▶ あわせてチェック:アイリスオーヤマの加湿器を比較|4機種の方式・加湿量・タンク容量の違いと選び方
湿度センサー・自動運転で加湿しすぎを防ぐ
湿度センサー付きで自動運転できるモデルは目標湿度に達すると運転をゆるめるので、加湿しすぎによるムダな電力が減る。湿度は40〜60%が目安で、結露やカビも防ぎやすくなる。手動のモデルでも、湿度が上がったら弱運転に切り替えると効く。
暖房やサーキュレーターと併用して効率を上げる
空気を循環させると部屋全体に潤いが届きやすく、少ない運転で効率よく加湿できる。冬に暖房を使うなら、サーキュレーターや扇風機で空気をまわすと加湿効率はさらに上がる。送風家電の消費電力は扇風機の人気おすすめ8選で、小さいモデルを取り上げている。
電気料金プラン・電力会社を見直す
電気代は使用量だけで決まらず、契約している料金プランや電力会社の単価にも左右される。夜間が安いプランへ移す、単価の低い電力会社に替える。同じ使い方でも電気代が下がる場合がある。検針票の1kWhあたりの単価を確認し、他プランと比べる。
加湿器の電気代についてよくある質問
方式と金額の話から少し外れた疑問を、まとめて片づける。
Q. 加湿器で一番電気代が安いのはどの方式?
A. 4方式のなかでは気化式がもっとも安い傾向です。ファンで水を気化させるだけなので、消費電力は約5〜20Wと小さめ。1日8時間・30日使っても、1ヶ月約100円前後が目安です。次いで超音波式が安く、加熱をするスチーム式やハイブリッド式は高めになります。
Q. スチーム式の加湿器は電気代が高いって本当?
A. 本当です。スチーム式はヒーターで水を加熱するため、消費電力が約130〜300Wと大きくなります。1日8時間・30日で1ヶ月約2,000円前後が目安です。ただし雑菌が繁殖しにくく、加湿力も高い。電気代とのバランスで決める形になります。
Q. 加湿器をつけっぱなしにしても大丈夫?
A. 電気代の面では、消費電力の小さい気化式や超音波式なら負担は小さめです。ただし加湿しすぎると結露やカビの原因になるため、湿度40〜60%を目安に、湿度センサーやタイマーが役立ちます。スチーム式は電気代が大きいので、必要な時間だけ使うほうが節約になります。
Q. 加湿器の電気代は水道代も合わせるとどれくらい?
A. 加湿器が使う水の量はごくわずかで、水道代は電気代に比べてほとんど気になりません。1日に数百ml〜数L程度の水しか使わないため、水道代の負担は月数円以下が目安です。加湿器のランニングコストは、実質的に電気代が中心と考えて差し支えありません。
電気代で選ぶなら気化式、加湿力なら加熱する方式
加湿器の電気代は加湿方式で決まる。1日8時間・30日の目安で、スチーム式は約2,000円前後、ハイブリッド式は約1,000〜1,500円台。超音波式は約200〜300円、気化式は約100円前後。ヒーターで加熱するかどうかが、差を生む最大のポイント。電気代を抑えたいなら気化式か超音波式、加湿力を重視するならスチーム式かハイブリッド式。
そこからさらに下げたいなら、部屋の広さに合った加湿量のモデルを選ぶ。湿度センサーや自動運転で加湿しすぎを防ぐ、暖房やサーキュレーターと併用して効率を上げる。空気を循環させる送風家電の選び方は扇風機の人気おすすめ8選にまとめてある。
※本記事の電気代はすべて単価31円/kWhを前提とした目安です。消費電力や単価は機種・加湿量・契約プランによって変わります。正確な金額は、お使いの機種の消費電力と検針票の単価で計算してください。